「24時間換気が寒い!」原因と対策を知り、お悩みを解消!
この記事を読まれている方の多くは、「冬に24時間換気システムで室内やお風呂が寒い」という経験をした方だと思います。
「なぜ24時間換気システムで寒くなるのか」「どのような対策があるのか」わかりやすく解説し、お悩みを解消します。
24時間換気システムとは
2024年4月現在、シックハウス症候群対策として、新築の住宅には「24時間稼働させる換気システムの設置」が義務付けられています。
24時間換気システムは「2時間に1回」家中の空気を入れ替えられる換気計画がされています。それにより、建材から発散される化学物質や、カビ・ダニの発生を招く湿気やハウスダストを計画的に排出します。
24時間換気システムについて、詳しくは「24時間換気 システム とは?【必要性を徹底解説!】」のページをご覧ください。本記事でよく出てくる「第1種換気」「第3種換気」についても解説しています。
24時間換気をつけたら暖房が効きにくい?
24時間換気システムは常に排気・給気をして空気の流れを作っています。そのため、冬の寒い時期には暖房をつけても寒く感じる場合があることは確かです。
ただし、給気も排気も機械で行う第1種換気の中には、給気される外気の温湿度と排気される室内の温湿度をなじませる方式もあり、このシステムを採用すれば換気による冬の寒さが気にならなくなります。
しかし、24時間換気システムの多くは、機械で排気し壁の給気口から自然に空気を取り込む第3種換気が多く採用されています。そのため、外の冷たい空気が室内に流れ込み、寒く感じてしまう場合があるのです。
24時間換気は基本的に切ってはいけない
24時間換気は住まう人の健康を守るために義務化されているものです。ですから、寒かったとしても基本的には換気システムを切ってはいけません。
もし24時間換気によって肌寒いと感じた場合には、空気の流れを弱めることが一般的な対策となります。
具体的には、換気の強弱スイッチがあれば「弱」にしてみましょう。また、第3種換気の多くは給気口の開閉が可能です。給気の量を調整することで外気を室内に取り込む量を少なくできます。
ただし、24時間換気は一定時間で計画的に空気を入れ替えることを目的としています。空気の流れを弱めると、計画的な換気ができません。ですから、あくまで寒さ対策の一時的な処置とお考え下さい。
それでも寒い場合・・・
現代の一般的な住宅であれば、換気量の調節で暖房の効きは良くなります。
換気量の調整をしても寒さを感じるのは「家の中でよく過ごす場所」と「外気を取りこむ給気口」が近すぎることが理由と考えられます。
その場合、サーキュレーター等で給気口から入ってくる空気を攪拌すれば、温度差は解消されます。
しかし、壁や床・窓の断熱性能の低さが原因で寒くなっている場合には、換気ではなく住宅性能を向上させるための別の対策が必要です。
24時間換気を付けたらお風呂が寒い?
冬の入浴時に脱衣室やバスルームで寒さを感じる方は多いでしょう。冬場に断熱性能が低い住宅は、暖房をつけている部屋以外は基本的に寒いのです。
マンションを含めた多くの住宅は第3種換気システムを採用し、浴室の換気扇を24時間稼働させることで空気の流れをつくることが多くあります。そのため、他の部屋の冷気が排気システムのある浴室に集まります。
脱衣所では服を脱ぐ上に、冷気が体温を奪いながら排気されるため、とても寒く感じるのです。
入浴時の冷気を抑える方法
入浴時に冷気を抑える対策も、換気量を調整するのが基本です。マンションと一戸建てのそれぞれについて解説します。
マンションなどの場合
マンションなどでは、24時間換気を兼ねている浴室の「24時間換気」または「常時換気」のスイッチを「弱」にするか、入浴中のみ「一時停止」にします。併せて、給気口で給気の量を調整しましょう。
浴室が換気計画対象外になっている一戸建ての場合
最近の戸建て住宅は、換気計画において浴室部分は対象外となっていることが多いです。つまり、浴室の換気扇は24時間換気とは関係なく、湿気の排気対策として付いているのです。したがって、寒い時には浴室の換気は切っても大丈夫ということです。
ただし、浴室の換気を切ったままではカビの原因となるため、浴室使用後は常時換気に戻しましょう。
換気対策をしても浴室が寒い場合は、浴室の基本的な断熱性能が悪いということになってしまいます。脱衣室を暖めたり、入浴前に浴室暖房乾燥機で浴室を暖めたりする等の対策をとりましょう。
お風呂の24時間換気から冷気が流れ出す!?
一定水準以上の気密・断熱性能のある住宅で暮らす方から「お風呂の換気扇の作動中に冷気が入ってくる」という話を聞くことがあります。
しかし、排気運転をしている状態で冷気が入るということは本来考えられません。また、現在の排気口(ベントキャップ)には、シャッター付きで排気運転中以外には冷気の侵入を防ぐ役割をするものもあります。
そうは言っても、実際に「冷気が入ってくる」という声はあるのです。では、換気扇の作動中に冷気が入ってくるのはどのような場合なのか、2つの原因が考えられます。
原因①キッチンのレンジフードが同時給排になっていない
高気密高断熱な住宅の換気計画では、必要な時だけ一時的に使う浴室やキッチンのレンジフードからの排気は、換気計画の中には含まれません。
しかし、キッチンの換気を考慮しない状態でバランスが取れていると、キッチンの換気扇を使用することで排気量が強くなり、換気計画が崩れてしまうことになります。
このようなことが起こらないように、キッチンのレンジフードでは排気した量だけ同時に給気する「同時給排」という仕組みの製品を取り付けることが多いのです。しかし、高気密住宅に慣れていない建築会社の施工では、排気のみのレンジフードが取り付けられている場合があります。
それにより、レンジフードを作動させ排気量が大きくなると、浴室の排気口から外気を引き込む逆流現象が起こる可能性があるのです。
マンションを含め気密性の高い住宅に暮らしていてお風呂の換気扇から冷気が入るように感じる場合は、同時にレンジフードが作動していないか確認してみましょう。
原因②他の給気口を閉じてしまっている
高気密高断熱住宅には、24時間換気システムの排気機器と浴室の排気をする換気扇が別で付いています。
寒い時期に給気の量を調整しようと給気口を閉めることはあるでしょう。その際に24時間換気システムの運転が「通常」もしくは「強」の状態だと、排気量に対して給気量が不足します。
この状態で浴室の換気扇を運転すると、先ほどのケースと同様に逆流現象が起こってしまうというわけです。梅雨時期には、エアコンの除湿用配管を空気が逆流して、エアコン吹き出し口などから水が垂れてくる場合もあります。
給排気のバランスが崩れたことで冷気の逆流が起こってしまう場合、以下のような対策があります。
●24時間換気の運転の強弱や、給気口の開閉でその量を調整する。
●浴室の換気扇は使わない(逆流防止シャッターが無いベントキャップの場合は意味がありません)。
●冷気が入っても気にならない箇所の窓を少し開ける。
まとめ
本記事では、24時間換気システムの影響で寒さを感じてしまう原因と対策について、住宅やマンションで多く採用されている第3種換気を中心に解説しました。
シックハウス症候群対策として建築基準法で義務付けられている「24時間換気」は止めてはいけません。仕組みを理解して、季節に合った空気の流れの調節やレンジフードの使い方、窓の開閉をして換気によるトラブルがない生活をしましょう。
熊本工務店の注文住宅は高気密高断熱に特化しており、バランスの取れた工法や換気システムを採用しています。健康で快適に暮らせる家づくりがしたいという方は、ぜひ熊本工務店へご相談ください。