地震に強いハウスメーカーの特徴を分かりやすく解説!
本記事では、熊本県の総合住宅展示場にモデルハウスを出展している大手ハウスメーカーの中から、地震に強いハウスメーカーとして8社を独自に選出。公式ホームページの情報から、各社の特徴を分かりやすく解説します。
ハウスメーカーの耐震性能は比較が難しい
さらに、それぞれが実大実験といわれる実物大の家での実験を実施し、耐震性能の検証を繰り返しています。これらは大手プレハブメーカーだからこそ可能な技術開発で、安心感もあります。
しかし、独自に開発された商品や工法が多いため、各ハウスメーカーの耐震性能を横並びで比較するのは難しいのが実状です。
ハウスメーカーごとの耐震性能の特徴
ここからは、熊日RKK住宅展(総合住宅展示場)に出展しているハウスメーカーの中から、地震に強いハウスメーカーとして8社をご紹介します。
一条工務店
一条工務店の地震対策として、4つのポイントを紹介します。
ポイント①ツインモノコック構造
一条工務店の構造は全棟、耐震等級3を取得できる「ツインモノコック構造」です。一般的な軸組み構造にパネルを張った六面体構造で、地震の力を面で受け止め分散させることができます。
ポイント②耐震強化のための施工
通常規定されている釘打ち量の最大2倍以上の量、長さも最大1.5倍の釘を使うことにより部材同士をしっかり繋ぎ、強固な耐震構造を実現しています。
ポイント③安定した品質
壁パネルなどを含めて80%もの非常に高い割合で工場生産を行なっています。そのため、現場作業でのバラつきを抑え、高い施工精度と品質の住宅を全国に展開できます。
ポイント④徹底したシロアリ対策
構造躯体の1階部分や断熱材、バルコニーや破風部分など、シロアリが侵入しやすい箇所に防腐・防蟻処理を施すことで耐久性を高めています。
ミサワホーム
ミサワホームの地震対策といえば、このパネル工法と制震装置の「MGEO(エムジオ)」です。
MGEO
MGEOは1階の壁の内側に2か所ほど設置する制震装置で、高減衰ゴムのダンパーの働きで地震の力を吸収します。
アルミ製で敷地やプランなどの制約条件はなく「メンテナンスフリーで繰り返し何度でも効果がある」という特徴があります。実大実験により13回の巨大地震を含め、4日間で計39回の揺れにも耐えることが実証されています。
中・大規模地震による建物の変形を最大約50%も軽減するこの装置は、阪神・淡路大震災の2倍レベルの巨大地震にも効果を発揮することが分かっており、耐震・制震の面で安心感があります。
なお、制振装置MGEOの採用は任意のようです。
三井ホーム
プレミアム・モノコック構造は、枠組み壁工法の特性を活かした6面体構造に、基礎・床組・壁・屋根へ独自開発の4つのこだわりをプラスした構造です。
こだわり①基礎:マットスラブ
鉄筋量を自社従来比2倍に増やした、三井ホームオリジナルの強固なベタ基礎です
こだわり②床:トラスフロア
強度の高い三角形、いわゆるトラス構造の高強度・高剛性の三井ホームオリジナルの床組材です。
こだわり③壁:ブロック・アンド・シームレスウォール
耐火性・遮音性・防水性・耐衝撃性をハイレベルに備えた独自の壁工法です。スーパーファインクリートという壁材で、性能と見た目の美しさを両立しています。
こだわり④屋根:ダブルシールドパネル
屋根断熱を実現する三井ホームオリジナルの建材です。約2.4tの大型車に相当する重量にも耐える強さを持つ、衝撃に強い屋根組材です。
パナソニックホームズ
住宅は鉄骨構造で「HS構法(制震鉄骨軸組構法)」「F構法(大型パネル構法)」「NS構法(重量鉄骨ラーメン構造)」の大きく3つの構法が存在します。
主にHS構法が採用されているため、今回はHS構法の紹介です。
HS構法(制震鉄骨軸組構法)
実証実験では東日本大震災級の大地震57回に加えて、中地震83回という140回にも及ぶ振動実験後に、阪神・淡路大震災神戸波の4.3倍のエネルギー量の震度に耐えられることを証明しています。
実験は、会社によっては「振動による歪みで割れを出さないように窓を開けたり、アクリル板を代用したり」する会社もある中、「太陽光・重い外壁・実際の窓に鍵をかける」と、全て不利な条件で実施しているところに誠実なモノづくりの姿勢が感じられます。
積水ハウス
積水ハウスが阪神・淡路大震災(1995年)の被害エリアに建築していた29,692棟のうち、全壊・半壊は0棟。東日本大震災(2011年)でも177,488棟のうち全壊・半壊0棟、熊本地震(2016年)でも全壊・半壊した棟はありませんでした。
鉄骨造
2階建ての軽量鉄骨構造で採用されているのは、特殊なゴムを内蔵した制震ダンパー「シーカス」が付いた「ダイナミックフレーム・システム」です。3階・4階建ては重量鉄骨で、高層ビルと同じ耐震基準で設計されており、地震に対して強いつくりです。
木造
木造住宅は「シャーウッドハイブリッド構造」でつくられています。
確かな強度が計算できる集成材を使用し、積水ハウス独自の構造用金物で緊結する「MJ(メタルジョイント)接合システム」と、基礎と柱を直接つなぐ「基礎ダイレクトジョイント」の2つの技術を採用。
木の住まいの弱点である「接合部の強度」を解消し、巨大地震による地震波の全方向からの力に対応できるようになっています。
大和ハウス工業
軽量鉄骨(xevoΣREMIUM、xevoΣ)
大和ハウスの軽量鉄骨造は別名「持続型耐震構造」で、複数回の大型地震に見舞われても耐えられる性能を持っています。
xevoΣは、耐力壁の構造の一部に「Σ」形の金属接合部分があり、ここに地震の力を吸収させ、柱や梁の損傷を防ぐ構造です。そのため、大きな揺れに耐え続けるだけでなく構造体の致命的な損傷を防ぎ、繰り返される地震から建物を守ります。
また、大和ハウスは基礎の強化にも注力しています。基礎コンクリートの立ち上がり幅は、建築基準法では120mm以上とされており一般的には150mm程度が多い中、非常に厚い180mmです。さらに、中の鉄筋の主筋も22mmと太いです。
基礎に80mm角形鋼管柱を直径22㎜のアンカーボルトで強固に緊結することで、引き抜き強度を高め、地震時の建物の浮き上がりを防いでいます。
木造(xevo GranWood、xevo BeWood)
木造では、品質を安定させるため構造用集成材を使っています。柱は4寸角の国産構造用集成材、木材の接合部は断面欠損を減らす金物工法を採用しています。
また構造計算上必要な場合は、柱と基礎に土台を介さず直性緊結する工法も取り入れています。
<xevo GranWood>
xevo GranWoodでは、さらに耐震性を強化できる次のような仕様となっています。
①基礎幅は内側170mm外周部180mmと業界屈指の厚みが標準。
②筋かいの5倍の強さをもつオリジナルの面材耐力壁で耐震性を確保することで、大空間や大開口の提案が可能。
③エネルギー吸収型木造制震耐力壁「グランブレース」は、地震時の建物の変形を在来工法と比較して最大1/2まで抑制。
④繰り返し地震が発生した際も初期の耐震性能を維持できる、エネルギー吸収型木造耐力壁「グランデバイス」も設置可能。
住友林業
BF(ビッグフレーム)構法
住友林業には多くの商品が用意されていますが、その多くはBF構法です。
BF構法は住友林業が独自に開発した構法で、一般的な柱の約5倍の太さがある柱を使うことで、耐震性を高めつつも大きな窓を設計できます。
また、阪神淡路大震災の約4倍に相当する最大加速度3406ガルに耐え、さらに震度7の地震22回+震度4から6弱の地震に224回耐えることが実験により確認されています。
構造体の接合部は金物工法ですが、一般的なピン接合とは異なり、高層ビルなどで採用される溶接によってユニットを一体化する「剛接合」という方法で緊結されています。
このように独自の太い柱と剛接合により、一般的な工法では必要な筋交いなどの耐力壁を省略することができます。そのため、広い開口部を実現できるのです。
マルチバランス構法
マルチバランス構法は、和モダンスタイルの商品「和楽」で採用されています。
寸法安定性に優れた集成材と、住友林業独自の「きづれパネル」という面材、剛床パネルをベースにした強い床材の組み合わせで、地震の力が加わった時の建物の変形を抑える構造です。
マルチバランス構法の実証実験では、阪神・淡路大震災の最大地動加速度の1.2倍・1.5倍を2回、さらに2倍を7回と、巨大地震を超える地震力を連続して受けても倒壊しない「ねばり強さ」が実証されています。
また、標準仕様ではないようですが「地震エネルギー吸収パネル」は高剛性・高減衰ゴムの働きで地震の運送エネルギーを熱エネルギーに変えて、地震の力を吸収する働きがあります。
トヨタホーム
軽量鉄骨の商品は、鉄骨ラーメンユニットの「シンセシリーズ」、設計自由度を高めた独自の鉄軸構造「エスパシオシリーズ」に加え、企画住宅の「LQ」があります。
ここではシンセシリーズの構法を紹介します。
①構造体:パワースケルトン
トヨタホームが独自に開発した「パワースケルトン」は、業界でもトップクラスの太さの柱を溶接によりボックス化、力がかかりやすい柱と梁の接合部には変形防止プレートを設置し強度を高めています。
②制振装置:T4システム
自動車の技術を応用して開発された、独自の制震装置「T4システム」は、高粘度シリコーンオイルによるダンパーを備えた制振装置によって、大地震後も安心して住み続けることができます。
<地震データを忠実に再現した実験>
「パワースケルトン+T4システム」の組み合わせでの実証実験は、兵庫県南部地震(震度7)や、軟弱地盤を想定した予測東海地震(震度7)などのデータを忠実に再現して行われました。
余震まで想定した90回にも及ぶ実験では、建物そのものにひずみも残らない高い耐震性が確認されています。
このように高い耐久性を発揮する「鉄骨ラーメンユニット」(T4システムを搭載する構造体「パワースケルトン」)は、耐震等級の基準値を大きく上回る強度を実現しています。
ハウスメーカーの家は耐震等級3と言えるのか
ただし、耐震等級を取得するには申請が必要なため、認定されなければ耐震等級3とは言えません。
2024年現在は、長期優良住宅の認定条件に耐震等級3があります。そのため、長期優良住宅であれば必然的に耐震等級3を取得していることになります。
2022年の長期優良住宅の認定取得率を見ると、積水ハウスが92.1%、ミサワホームが57.4%となっており、ハウスメーカーによっても認定取得に向けた取り組みには差があるのが分かります。
ハウスメーカーと地場工務店の大きな違い
しかし、地場の工務店とハウスメーカーの大きな違いとして、ハウスメーカーは独自の技術開発や商品の差別化を行う戦略のため、実大実験を行っていることが挙げられます。
検証結果を基にして商品化し、工場で生産するため、基本的に耐震等級3の基準を超える性能で設計されていると言えます。
地場の工務店でもハウスメーカーでも、耐震等級を基準に考えると「3相当」を謳っている会社であれば、ある程度高い耐震性能はあると考えて良いでしょう。
審査を受けなければ耐震性能の証明はされない
しかし、先にも話したように評価機関による審査を受けなければ証明はされません。耐震等級3の住宅には、地震保険が50%割引になることやフラット35Sのお得な金利プランが使える等のメリットがあります。
借入額が大きくなるほどに金利の違いによる総支払額の違いも大きくなります。耐震等級3を標準で取得していないメーカーに建築を依頼する際には、申請にかかる費用や受けられるメリットも考えて、等級3の取得を依頼するか検討しましょう。
まとめ
大手ハウスメーカーでは、独自の技術と実証実験を行っています。また、全国規模で住宅を建築しているハウスメーカーは耐震性に欠陥があった場合非常に多くのリスクを背負うことになることからも、耐震性能に関しては比較的安心と考えて良いでしょう。
ただし、商品ラインナップが多く、制震装置や性能を上げる仕様がオプションの可能性もあるため、ご自身の家の性能については契約前にしっかり確認することをお勧めします。
熊本工務店の注文住宅は、標準で長期優良住宅の認定をとる家づくりをしています。そのため、耐震等級3の性能が確保されます。
また、デザインや設備選択の自由度に関しては、工場生産で規格が多い大手ハウスメーカーより高いと言えます。
ただし、企業規模の大きいハウスメーカーのような大規模な実証実験は、残念ながらできません。
ハウスメーカーと工務店それぞれにメリット・デメリットがありますので、ぜひ熊本工務店の資料もご請求いただき、比較検討してください。
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