断熱の基礎知識【お風呂の断熱を詳しく解説】

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】冬場のお風呂が寒くて辛いという方は多いのではないでしょうか?

実はお風呂の寒さにも、住宅の断熱性能が大きく関わっています。

本記事では、冬場でも安心して過ごせる暖かい浴室づくりや、家づくりで後悔しないために重要な「浴室の断熱」についてわかりやすく解説します。

 

お風呂(浴室)の断熱の重要性

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】冬になると「ヒートショック」の話題が取り上げられることが多くなります。

実は、浴室での溺死は交通事故の死者数より多いという統計があります。

さらに、浴室での溺死は冬場にその数が増えています。

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】年齢に注目すると、9割が65歳以上の高齢者です。

人口10万人あたりの死亡数は、2000年は3人未満でしたが、2000年代後半から増加傾向が強くなり、現在では5人程度となっています。

これは国民の高齢化が要因と考えられ、そうなれば残念ながら今後も増えていくことが予想されます。

また、「浴槽内での溺死及び溺水での死者」は、上の表では5,666人となっています。

しかし、心不全やその他の病状、詳細不明などの死因まで含めると、入浴中の死者は19,000人にのぼるという報告もされています。

 

これだけ入浴中の死者が多いことや、冬場に溺死の数が増えることからも、浴室が寒いことは「命にかかわる」ということが見えてきます。

「多少寒くてもちょっと我慢すればいい」という考えは危険です。住環境が変わらなくても、自身が歳を重ねるごとに環境への適応力が下がっていくことを理解しておきましょう。

 

在来(造作)浴室とユニットバスの違いを理解する

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】まずは昔ながらの家と現代の家では、浴室の作りが全く違うことを理解する必要があります。

現在、多くの新築住宅では「ユニットバス」が採用されています。

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】ユニットバスは、浴室そのものが箱の様にセットになったものを、お風呂の空間にはめ込むイメージです。

一方、ユニットバスが普及する前の住宅では、造作のお風呂(在来浴室)が一般的でした。

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】在来浴室は、ブロックなどを積み、タイルや風呂釜など別々の部材をその場で組み合わせ、浴室をつくり上げます。

もちろん、以前の住宅は断熱性に配慮した造りにはなっていませんでした。

天井が高く、タイルは冷たく、風通しを良くするために取り付けられた大きな窓は一枚ガラスのアルミサッシ枠。場合によってはジャロジー窓といわれるルーバータイプの窓がついていたりします。

その結果、すき間風が入り込み、冬場の浴室は外の冷気で冷蔵庫のような状態になっているのです。

 

浴室の断熱のポイント

浴室をユニットバスにするという前提で、断熱のポイントは2つあります。

①お風呂(浴室)部分の壁や床下の断熱工事
②ユニットバス本体の断熱仕上げ

それぞれについて、これから詳しく解説します。

 

お風呂(浴室)部分の壁や床下の断熱工事

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】建物の床部分の断熱は、大きく分けると「床断熱」「基礎断熱」の2種類です。

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】

 

床断熱

床断熱は、床下を風通しが良い状態にしています。常に外の空気が流れ、床下は外部環境と同じ状態です。

そのため、フローリングの下などに断熱材を施工して、断熱層をつくります。

 

基礎断熱

基礎断熱は、床下を密閉して床下も室内環境の一部と考えます。

基礎コンクリートの立ち上がりの外側、もしくは内側に断熱材を施工します。

 

「床断熱」では浴室の断熱に問題が出ます。

なぜなら、浴室には他の部屋のように床面が無いため、断熱層がつくれないのです。つまり、これまでの多くの住宅の浴室は無断熱の状態だったという事になります。

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】床下の無断熱状態や、窓の断熱性能の悪さ、建物によっては壁の断熱施工もされていない場合もあり、一昔前の住宅には寒いお風呂が多いのです。

 

浴室部分の施工方法の基準

これまで浴室の断熱に関しては、いくつかの施工方法が推奨されてきました。

しかし、2025年からの省エネ性能の義務化に際し、浴室部分の施工方法の基準は次のようにまとめられています。

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】

 

床断熱

床断熱の場合、ユニットバスの下部を断熱仕上げにし、床下の冷たい空気が浴室を覆わないように気流止めを行います。

 

基礎断熱(外断熱)

外断熱工法では家の外側に断熱層があるため、ユニットバスそのものへの断熱施工は指定されていません。

 

いずれの断熱方法も、浴室が連続した断熱層の内側にあるということがポイントです。

 

お風呂の窓にご注意!

熱の多くは窓から逃げます。そのため、お風呂の断熱を考える際に窓の性能は欠かせません。

窓の断熱について詳しくは、「断熱の基礎知識【窓の断熱を詳しく解説】」ページをご覧ください。

 

窓サッシは、下記の①→②→③→④→⑤の順で断熱性能が高くなります。
(①が低く⑤が高い)

①アルミサッシ+シングルガラス
②アルミサッシ+ペアガラス
③外側アルミ内側樹脂サッシ+ペアガラス
④樹脂サッシ+ペアガラス
⑤樹脂サッシ+トリプルガラス

断熱性能を考えれば、最低でも③以上のサッシを取り付けることをお勧めします。

 

これから新築を考える場合、先に述べた2025年以降の省エネ性能の義務化(断熱等等級4の義務化)に対応した断熱施工になっているか確認しましょう。

 

ユニットバス本体の断熱仕上げをどうするか

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】ユニットバス本体には、バスタブの保温(お湯の温度をキープする)や浴室の床の保温、床壁天井外部の断熱材の施工(浴室から熱が逃げるのを防ぐ)などの「断熱の工夫」があります。

 

ユニットバスの各部分の断熱方法

住宅設備メーカーのカタログから、ユニットバスの各部分における断熱方法のイメージ(一例)をご紹介します。

①断熱効果のあるバスタブ

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】

②断熱性能のある床材

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】

③浴室の外側全体を断熱材で包み込む

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】※写真引用・TOTO「サザナ」正式カタログより

 

バスタブの断熱に関しては各メーカー標準になっていることが多いです。

しかし、床材はメーカー毎につくりが違うため、ユニットバス選びの注目ポイントになります。

浴室全体の断熱に関しては、現在は断熱性能が高い住宅が増えているため、基本的にオプション扱いとなる場合が多いでしょう。

浴室の外側全体の断熱は、断熱性能の高い住宅、特に外張り断熱(外断熱)工法の新築住宅に関しては、それほど必要ないとも言えます。

しかし、断熱性能が低い住宅のリフォームなどの際には是非取り入れたい施工です。

 

まとめ

断熱の基礎知識【浴室の断熱を詳しく解説】本記事では、お風呂(浴室)の断熱について詳しく解説しました。

快適で健康に配慮した住宅にするためには、浴室や脱衣室の断熱施工がとても重要です。

【断熱に関連する確認ポイント】

・充填断熱工法/断熱層が切れ目なく続く施工になっているか。
・外張り断熱(外断熱)工法/気密性能を表すC値(気密値)が、最低1.0以下であること。
 ※C値は小さい程優れている。
・基礎断熱/浴室部分の空気が他の床下の空気(=外気)と混じることがない施工になっているか。

上記のポイントに注目して確認することをお勧めします。

 

熊本工務店の注文住宅は、家全体を断熱材で包み込む高気密高断熱の外断熱工法です。

バスタブの保温施工さえできていれば、脱衣所や浴室が寒くなるということが無いため、仮に浴室暖房を設置しても浴室を暖めるために使用する人はほとんどいません。

冬のお風呂は寒くて苦手という方や、一年中快適な家で暮らしたいという方は、ぜひ熊本工務店に資料請求してください。