断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】

断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】住宅の断熱は、大きく3つの箇所『屋根(天井)・壁・基礎部分(床)』に分けられます。

そして、それぞれの断熱方法は住宅建築会社の断熱の考え方や設計によって変わります。

本記事では、特に「基礎(床)の断熱」について詳しく解説。

高気密高断熱な家を建てたい方に、きっと役立つ内容です。ぜひ最後までご覧ください。

 

 

なぜ床が冷たい?日本家屋の床下の考え方の歴史

断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】床から出入りする熱に注目すると、夏よりも冬に熱が奪われる割合が多いのが分かります。

冬は床や廊下が冷たく、靴下の重ね履きやスリッパがないと生活できないという方も多いのではないでしょうか。

日本の住宅は、「梅雨や夏に少しでも快適に過ごせるように」という考え方のもとで作られてきました。

土台が湿気を帯びるとシロアリの被害に遭いやすくなってしまうなど、木造家屋において湿気は大敵だからです。

 

その対策として行われていたのは「床下の風通しを良くすること」でした。

断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】図の①は昔の民家です。

石の上に立てた束の上に建物が乗っており、床下はなるべく空間を設けることで風通しの良い造りになっています。

次に、耐震対策などの理由から図の②のようなコンクリートの基礎が登場します。はじめは周囲のみを支える形でしたが、次第に建物全体の土台を支えるように変わっていきました。

その際には、基礎部分に通風口という四角い穴を開けることで風通しを良くしていました。

現在は図の③のように、コンクリートで全面を施工する「ベタ基礎」が一般的になっています。

通風口の代わりに、基礎と土台の間に「基礎パッキン」という穴の開いた特殊な樹脂素材でできたスペーサーを挟み込みます。

 

このように、今も昔も「床下は通気性を良くする」という考え方が一般的です。

通気口を設けるという考え方であれば、当然床下には外気の温度湿度と同じ空気が常に流れることになります。

では、どのようにして住宅は床を暖かくしているのでしょうか。これから床部分の断熱方法について解説します。

 

床面で断熱する方法【床断熱】

断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】代表的な床面の断熱の考え方には「床断熱」「基礎内断熱」「基礎外断熱」の3つがあります。

まずは、床面で断熱する「床断熱」についてご説明します。

図の①が、広く普及している「床断熱」のイメージです。

フローリングの下の床組みの間に、グラスウールなどの繊維状断熱材を張り付ける方法や、発砲系の板状断熱材を敷き詰める方法などが採用されています。

床断熱のメリット

床断熱の代表的なメリットには次のようなものがあります。

通気が確保できる

床面で断熱を行なうため、床下空間は通気口によって風を通すことができます。

コストが抑えられる

床面に水平に断熱材を施工するため、施工面積が小さく済みます。そのため、基礎断熱に比べてコストを抑える事が出来ます。

 

床断熱のデメリット

床断熱の代表的なデメリットには次のようなものがあります。

断熱しても冬場に床が冷たい

床断熱は、床面を断熱しているものの、床下空間には外気が入り込みます。そのため、冬場には床が冷たいと感じる場合もあるでしょう。

断熱材が結露する可能性がある

夏場には室内をエアコンで冷やします。冷たい空気は下がっていく特性があるため、冷やした空気が床や床下へ伝わっていきます。

夏には床下を通る外気も非常に暑くなっているため、室内の冷たい空気と外気のジメジメした暑い空気によって、結露が発生する可能性があるのです。

 

床断熱の場合、床下は外気と同じ環境となります。そのため、夏場の湿った空気が床下に流れ込んでくると、断熱層で結露が起こってしまう可能性があります。

また、次に説明する「基礎断熱」と比べて床が冷たく感じます。結局、床の快適性を保つために床暖房などをつける方も多く出てきてしまうのです。

効果的に床断熱を行なうためには、施工方法や断熱材の種類にこだわるべきです。しかし、特に冬場などに床断熱で床を冷えなくするのは難しいというのが実状です。

 

基礎の内側で断熱する方法【基礎内断熱】

断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】基礎断熱は、主に住宅の気密性を重要視する外断熱工法や、内・外のダブル断熱で採用されています。

基礎外断熱やダブル断熱では、基礎の部分は密閉されていて換気は機械で行なうため、床下に外気が侵入してくることはありません。

図の②が基礎「内」断熱のイメージです。

建物周囲を囲むコンクリート基礎の内側の「立ち上がり部分」と「底部分」のある程度の幅まで断熱材を貼り付けることで、コンクリートを伝わってくる外気の熱や冷気を防ぐ仕組みとなっています。

基礎内断熱のメリット

基礎内断熱の代表的なメリットには次のようなものがあります。

シロアリ被害のリスクを抑えられる

シロアリは断熱材と基礎の間を通り道として家に入り込むことが多いです。しかし基礎内断熱では、コンクリート基礎で囲まれた内側に断熱材を張るため、シロアリ被害のリスクを低減することができます。

床下空間を収納などに活用できる

基礎内断熱では、床下も室内と同じ温湿度環境となります。そのため、基礎の高さが高い場合、床下の空間を収納として活用することも可能になります。

 

基礎内断熱のデメリット

基礎内断熱の代表的なデメリットには次のようなものがあります。

カビが発生するリスクがある

基礎断熱では外気を床下に取り込まないため、換気システムによって適切な換気を行なう必要があります。しかし、換気計画がうまくいかないとカビが発生するリスクがあります。

基礎外断熱と比べて冬場の床が冷たい

基礎には土台を支えるための「立ち上がり」という高くなった部分ができます。断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】

基礎内断熱では立ち上がり部分のコンクリートを伝って、外気の熱や冷気が内部に入り込みます。

そのため、基礎を全て包み込む基礎外断熱に比べて外気温が建物に伝わりやすく、冬場には床が冷たいと感じる可能性があります。

 

断熱性能では基礎外断熱が優れていると多くの会社が理解しているものの、基礎内断熱が多く使われるのには理由があります。

それは、シロアリが断熱材を通って建物構造をダメにしてしまった過去の事例があるためです。

そのため、現在でも住宅の安全性を優先するという考え方のもと、基礎の内側に断熱材を施工する住宅会社が多いのです。

 

基礎の外側で断熱する方法【基礎外断熱】

断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】外断熱(外張り断熱)は、建物を外側から隙間なく断熱材で囲います。

建物と同様に基礎部分も外断熱とすることで、コンクリートに熱が伝わるのを防ぎ断熱効果は高まります。

図の③が基礎外断熱のイメージです。

基礎のコンクリートを打つ型枠をそのまま断熱材として利用したり、後から外側に断熱材を貼り付けたりして施工します。

基礎外断熱のメリット

基礎外断熱の代表的なメリットには次のようなものがあります。

断熱効果が高くなる

基礎外断熱は、外気からコンクリート基礎そのものに熱が伝わりにくくする断熱方法です。そのため、正しく施工を行なえば最も断熱効果が高まります。

基礎の耐久性が向上する

基礎はコンクリートでできており頑丈ですが、冬の冷気や夏の強い日差しを浴びればダメージが蓄積されていきます。外断熱で基礎ごと包むことで、基礎の耐久性を高める事に繋がります。

 

基礎外断熱のデメリット

基礎外断熱の代表的なデメリットには次のようなものがあります。

シロアリ被害リスクが高まる

シロアリは基礎と断熱材の隙間を家に向かって進みます。基礎の外に断熱材がある基礎外断熱では、基礎内断熱に比べてシロアリ被害のリスクが高まります。

そのため、基礎外断熱には隙間なく施工する技術や、十分なシロアリ対策をとるための知識が必要となります。

カビが発生するリスクがある

基礎内断熱と同様に、基礎外断熱も外気を床下に取り込みません。そのため、換気システムによって適切な換気を行なう必要があります。もし換気計画がうまくいかなければ、カビが発生するリスクがあります。

 

ただし基礎外断熱に関しては、断熱材や土壌に十分なシロアリ対策を施すことや、適切な換気計画を行なうこと、気密性を高めること等によってデメリットを解消できます。

 

まとめ

断熱の基礎知識【基礎(床)断熱を詳しく解説】床の断熱方法は大きく分けて「床断熱」と「基礎断熱」の2つがあり、基礎断熱はさらに「基礎内断熱」と「基礎外断熱」に分かれます。

本記事では、それぞれにメリットやデメリットがあることを解説してきました。

 

今回解説した「床」以外にも、壁や屋根など家全体の断熱の考え方は住宅建築会社によって様々です。

そのため、施工現場や完成物件を実際に見せてもらい、他社と比較検討して住宅建築会社を選択することをお勧めします。

失敗しない家づくりの第一歩は「お施主様自身が家づくりを学び、たくさんの知識を持つこと」です。

熊本工務店の高性能注文住宅は、基礎外断熱を採用した外断熱工法を採用しています。断熱・気密に関しては特にこだわって施工をしています。

家づくりについても詳しくご説明いたしますので、ぜひ資料請求やご来社ください。