小さい二世帯住宅を建てる際のポイント
実家の建て替えや親が高齢になったなどの理由で二世帯住宅を検討する際の悩みとして、土地の広さが挙げられます。
1世帯で暮らすには十分な広さの土地でも、二世帯住宅を建てる際にはプライバシーの観点からも、広さに不安があるという方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、小さい土地に建てる二世帯住宅の概要や、小さい二世帯住宅の間取りのポイントについて解説します。
小さい土地とは
まずは、小さい土地について整理します。小さい土地と言えば「狭小地」という言葉があります。
明確な定義はありませんが、一般的に15坪~20坪程度の土地を狭小地と呼びます。
15坪~20坪を㎡や帖数に直すと、以下のようになります。
●坪:15坪~20坪
●帖:約29.9帖~40.0帖
●㎡:約49.5㎡~66.1㎡
これだけの広さいっぱいに家を建てる事ができれば、ワンフロアの広さとしては十分とも言えます。
しかし、土地には「建ぺい率」という敷地に対する建物の面積の割合が決められています。
建ぺい率
建ぺい率とは、「その土地の何%を建物の面積として使えるか」を定めたものです。つまり、敷地面積を真上から見たときの建物の広さを表します。
住宅建築用の土地の建ぺい率は、おおよそ30%~80%となっています。
建ぺい率60%の場合
先ほど整理した狭小地の敷地に一般的な60%の建ぺい率を反映すると、建てられる建築面積は以下のようになります。
●坪:9坪~12坪
●帖:約18.0帖~24.0帖
●㎡:約29.8㎡~39.7㎡
土地の条件によって異なりますが、これが狭小地に建てられる建築面積の目安です。
小さい土地に建てる二世帯住宅は3階建てが前提
当たり前ですが建築面積の中には、水回りなど暮らしに必須の間取りを組み込む必要があります。
●玄関:約3帖
●トイレ:約1帖
●お風呂:約2帖
●洗面脱衣室:約2帖
●LDK:10帖(最低)
合計:18帖
この時点で20坪の土地でも残り6帖しか残されていませんが、約2帖の階段を設ける必要があります。
こうなると、二階建てでは残りの一つのフロアに二世帯分の居室を設けることになりますが、広さを考えると現実的ではありません。
つまり、狭小地で二世帯住宅を建てる際には、3階建てが現実的ということになります。
小さい二世帯住宅の間取り3つのポイント
次に、小さい二世帯住宅を建てる際の間取りのポイントを3つご紹介します。
●可能な限り設備を共有する
●フロアごとに世帯を分ける
●ホームエレベーターを検討する
それぞれ詳しくご説明します。
可能な限り設備を共有する
二世帯住宅には大きく3つのタイプがあります。分類のポイントは「キッチンやトイレ」「浴室」「玄関」これらを共同で使うかどうかです。
図の通り、完全分離型の間取りは玄関や水回りが世帯ごとに必要になるため、どうしても大きな家になってしまいます。
小さい二世帯住宅にするためには、部分共有型や完全同居型のように、できるだけ設備を共有する意識が重要です。
フロアごとに世帯を分ける
先ほどもご説明した通り、小さい(狭小地での)二世帯住宅は3階建て以上が基本になります。
その際、上の図の部分共有型のように縦に分けると広い空間をつくることができません。さらに、親世帯は階段の上り下りに苦労するでしょう。
そのため、小さい二世帯住宅では「1階は親世帯」「2・3階は子世帯」のようにフロアごとに世帯を分けるのがお勧めです。
ただし、子世帯が上の階で生活すると、元気な子どもの足音が親世帯に響く可能性があるため注意が必要です。
ホームエレベーターを検討する
活発な子世帯の生活音への対策として、親世帯を3階にする方法もあります。
その際には、ホームエレベーターの採用を検討しましょう。
ただし、以下のような懸念点もあります。
設置費用
新築でホームエレベーターを採用する場合、費用の目安は約300万円程度と高額です。住宅設備としてはかなり高額ですので、まずは設計により解決する方法を考えるべきでしょう。
設置スペース
機種にもよりますが、設置には約1畳程度必要です。3フロアすべてで、このスペースが取られてしまいます。小さい土地であれば、その影響は余計に大きくなります。
メンテナンス
エレベーターには定期的な保守点検やメンテナンスが必要です。さらには電気代もかかりますので、手間やコストを考慮しておきましょう。
まとめ
本記事では、小さい土地に建てる二世帯住宅の概要や、小さい二世帯住宅の間取りのポイントについて解説しました。
狭小地と言われる小さい土地で二世帯住宅を建てる場合には、最低限必要な住宅設備の兼ね合いから3階建てが基本となります。
また、建築費を抑える目的でできるだけ小さい二世帯住宅を希望する場合には、「部分共有型」や「完全同居型」の間取りで、住宅設備を極力共有することが重要です。
ただし、家族のプライバシーにも十分配慮して設計しなければ、両方の世帯がストレスを感じることになりかねません。
後悔しないために大切なのは、家族でしっかりと話し合い、想いを設計士に伝えることです。
熊本工務店では、設計士が直接お客様のご要望をヒアリングし、家族に最適なプランをゼロから作成します。
その際にはもちろん、狭小地や変形地などの土地の状況にも配慮します。熊本県内で二世帯住宅の建築をご検討中の方は、是非お気軽にご相談ください。