住宅ローンのシミュレーション方法【家づくり初心者にもわかりやすく解説します】
住宅購入を考える際、総予算のイメージが固まった後には「住宅ローンを組んだら、どれくらいの支払いになるのか」を知りたい方が多いのではないでしょうか。
現在ではインターネット上のサービスや、スマートフォンアプリを使用することにより簡単に住宅ローンのシミュレーションが可能です。本記事では、住宅ローンをシミュレーションする際に入力する「数字」の考え方について解説します。
目次
住宅ローンのシミュレーション
現在では、色々なアプリや金融機関のホームページで、簡易的な住宅ローンシミュレーションを行うことができます。
最も簡単なものであれば「借入(希望)金額」「借入金利」「返済期間」「返済方式」を入力するだけで算出することができます。
ハウスメーカーや不動産会社と具体的に話が進んでいない場合は、いずれも仮で入力することになりますが、それでも大体の目安は把握しておきたいものです。
【はじめに】住宅ローンシュミレーションサービスを活用しましょう
住宅ローンシミュレーションを行う際には、インターネットで「住宅ローンシミュレーション」と検索します。
様々な金融機関の住宅ローンシュミレーションサービスが表示されますので、気になったページにアクセスしてみましょう。必要な情報を入力することで、手軽にシミュレーションを行うことができます。
シミュレーションサービスによって、シミュレーションの方法は異なります。簡易的なシミュレーションは個人情報を入力する必要も無いものが多く、もちろん無料です。色々と触ってみることで、自分に合ったサービスを見つけることができます。
ここからは、自分自身で住宅ローンシュミレーションを行なう際に入力が必要な数値の考え方をご紹介します。
家づくりの総予算を仮定する
住宅購入の「総予算」とは、「建物本体の費用」「土地の価格」「付帯工事」「諸費用」などを合わせたものになります。しかし、付帯工事や諸費用は話が進まないと見えてきません。
そのため、概算でイメージしながら進めることとなります。そのような状況で家づくりの総予算を家庭する際には、『年収倍率』を基にシミュレーションするのが良いでしょう。
総予算の目安は年収の7倍から8倍
住宅ローンのタイプは、大きく分けると「固定金利」と「変動金利」に分かれます。2023年12月現在、金利の低い変動金利で借りる人が多いです。
金利が低いということは、月々の支払いが同じ場合に借入総額を多くできるというメリットがあります。その反面、金利が大幅上昇した場合に、返済負担が大きくなるリスクがあります。
その点はここでは解説しませんが、変動金利で借りる人は大よそ年収の7倍から8倍を総予算の目安にすることが多いようです。収入を夫婦で合算するということもできます。
総予算を年収の8倍と仮定すると、例えば年収600万円の方は総予算の上限を4800万円として家づくりを考えるということになります。
借入金額を仮定する
金融機関の審査に通るか通らないかはひとまず考えずに、総予算の上限を把握できたところで、次は実際に借りる金額(借入金額)を仮定しましょう。
建売物件等の価格が把握できている場合には、その金額に100万円ほど追加して試算するのが良いでしょう。
注文住宅の場合、土地や建築会社の建物価格の相場がわかっていれば、その金額に300万円から500万円くらい上乗せして試算することになります。物件価格や相場が不明な場合は、先に仮定した総予算で試算すると良いでしょう。
もしかしたら、この時点で総予算を大きく上回っているかもしれません。その場合には、検討している物件や建築したいエリアでの計画には無理があります。
早めに家族で優先順位を話し合い、計画変更を考えた方がマイホーム取得の近道となります。
頭金がある場合
もし頭金が準備できている場合には、その金額を借入金額から差し引きます。
ここで、「頭金はどのくらい必要か」という疑問が多く出ます。将来の計画や安心感を考えると借入金額は少ない方が良いと言えますが、現金は必要最低限のみでできるだけ多くを住宅ローンでまかなうという考え方もあります。
なぜなら、住宅ローンは返済期間が長く、わずかな金利の上昇で利息額が大きく変動してしまうからです。
例えば4000万円を35年返済・元利均等・ボーナス返済なしで、金利1%と2%でそれぞれ比較すると、なんと総支払額に約823万円の差が出ます。
もし仮に800万円の頭金を用意するために毎月5万円貯金を始めたとすると、800万円を貯めるのに約13.5年かかります。現在は住宅ローンの金利が非常に低く抑えられているため、10年以上先では金利が上昇している可能性が高いでしょう。
このような観点から、「低金利の時代には現金はその他で運用し、住宅ローンはなるべく借りる」という専門家の意見もあるようです。
また、高性能住宅であれば「住宅ローン控除」という借入金額に応じた減税制度も設けられています。
借入金利を仮定する
総予算の項目で試算した年収600万円の方を例に、借入金額を4800万円とします。
次に金利を入力することになりますが、「何%で入力すれば良いの?」と迷われると思います。
そこで、金利タイプ別に借入金利の考え方をお教えします。
変動金利の考え方
2023年12月時点、変動金利は低金利で安定しています。ネット銀行ではさらなる低金利争いが続いており、PayPay銀行やSBI銀行では0.29%という超低金利が発表されています。
では、この0.29%で試算すれば良いかというと、そういうわけではありません。ネット銀行の金利は低いですが、審査が厳しいという特徴も持っているためです。
そのため、変動金利でシミュレーションをする場合には、地方銀行のローン商品なども考慮した0.7%~0.9%で試算することをお勧めします。
変動金利は「金利が変動する」という点をどう考えるべきかという問題がありますが、実際にどの程度上昇していくかは専門家にも予想できません。
その辺りは、後ほどご説明する『審査金利』によって金融機関が余裕を持った金利で審査することで、住宅ローン破綻のリスクに対策をしています。
また、実は変動金利の基準金利は2009年からほぼ動いていません。そのため、一般的には変動率は考えずにシミュレーションする場合も多いのです。
住宅ローンに関して知識を深められた後で、変動金利の変化も加味し任意で設定できるシミュレーションソフトもありますので、活用されると良いでしょう。
固定金利の考え方
固定金利は5年・10年・全期間固定など、一定期間の金利が変わらないローン商品です。
適用される金利は、融資が実行された時点の金利となりますのでご注意ください。これは、変動金利も同様です。
35年間金利が固定となる「フラット35」の最も多く適用されている金利(最頻金利)は年1.91%ですので、35年固定ローンの場合には金利2%で試算することで返済金額のイメージができるでしょう。
また、シミュレーションソフトによっては金利を2段階で設定できるものもあります。金利の変動が明確になっている場合には、より正確な金額がわかるでしょう。
返済期間を仮定する
住宅ローンは完済時の上限年齢が金融機関やローン商品によって設定されていますが、多くは『完済時年齢80歳未満』となっています。
現在は50年ローンなどの長期間に渡るローン商品も登場していますが、扱っている金融機関は多くありません。
そのため、45歳未満の方であれば返済期間は35年で試算する場合が多いです。ただし、借入時の年齢が高い場合は「80歳-借入時の年齢」が借入期間の上限となります。
ライフプランが明確で20年や25年などで住宅ローンを組む場合もありますが、月々の返済額は高くなりますので注意しましょう。
返済方式を決める
返済方式には「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。
元利均等返済
元利均等払いは月々の返済額が一定となる返済方法で、一般的にはこの元利均等払いで試算を行ないます。
元金均等返済
元金均等払いは月々の返済が比較的高くなりますが、トータルの利息割合が低くなるという特徴があります。
住宅ローンシミュレーションを行う際には、一般的に使用される「元利均等返済」を選択すると良いでしょう。
借入金額によるシミュレーションの例
ここまで説明してきた数字を基にして、借入金額ごとに月々の支払いがいくらになるか見てみます。
試算の条件は[変動金利0.7% 、固定金利2.0%、返済期間35年、元利均等払い、ボーナス返済なし]で、それぞれの借入金額で試算します。
借入額4000万円の場合
借入額5000万円の場合
借入額6000万円の場合
最低限必要な情報を押さえておけば、このようなシミュレーションを簡単に行うことができます。
金融機関の住宅ローン審査について
これまでのシミュレーションは自信でインターネット等を使用して行えるものです。
次に、実際に金融機関でローンの審査をする場合に知っておくべき情報をお伝えします。
住宅ローンの審査金利
実は、金融機関が住宅ローン審査を行なう際には、融資時の適用金利(2023年12月現在PayPay銀行の場合0.29%)ではなく、金融機関ごとに定めた『審査金利』によって審査が行われる場合があります。
住宅金融支援機構の「2021年度住宅ローン貸出動向調査」によると、金融機関が審査に使用する金利は以下の通りでした。
- ●審査金利による審査:37.6%
- ●審査金利は適用なし:35.4%
- ●案件により異なる:26.9%
また、審査金利は3%から4%で設定されている場合が多いと言われていますが、何%で審査されているかは公表されていません。
住宅ローンの審査項目
審査では、審査金利の他にも以下のような項目が判断材料とされています。
- ●完済時の年齢
- ●勤め先
- ●勤続年数
- ●年収
- ●返済比率
- ●健康状態
- ●借入状態や信用情報など
簡単にいえば、「長期に渡って安定して返済できる能力と信用があるか」判断されるということです。
自営業の方の場合、直近3年間の事業の安定性を確定申告の書類などで審査されます。
返済比率とは
住宅ローンの返済が家計にとって大きな負担になり過ぎないよう、金融機関では「返済比率」を基準の1つとしています。
返済比率とは、年間のローン支払総額が年収の何%にあたるかということです。返済比率については、使用するローンごとに以下のような基準が目安となります。
ただし、返済比率以外にも様々な項目によって借入可能な金額は変わりますので、ご注意ください。
まとめ
本記事では、住宅ローンシミュレーションを行なう際に必要な、項目や目安について解説しました。
総予算・借入金額・返済金額の目安を知っておくことで、不安を抑えながら現実的なマイホーム計画が可能となります。
熊本工務店では、資金計画も含めてトータルで家づくりのサポートを行っています。これから家づくりを考えるという方も、是非お気軽にお問い合わせください。