注文住宅の二世帯住宅で考えるべきこと【費用や間取りの観点から解説】
二世帯住宅は家族構成や家族関係など様々なことを考慮する必要があるため、決められたプランそのままで建築することは難しいと言えます。したがって、二世帯住宅を建てる場合には、規格住宅より注文住宅のほうが親世帯・子世帯それぞれのライフスタイルに合った住宅が実現できます。
本記事では、注文住宅で二世帯住宅を建てる場合の建築費用の相場や、お住まいになる上で重要になる共有部などの間取りの考え方やポイントを解説します。
二世帯住宅は大きく3種類
二世帯住宅は大きく分類すると、「部分共有型」「完全同居型」「完全分離型」の3種類にわけることができます。それぞれを簡潔に説明すると以下のようになります。
●完全同居型は多くの部分を共有するタイプ
●部分共有型は必要に応じて一部を共有するタイプ
●完全分離型は全てを分離して各世帯が独立するタイプ
二世帯住宅の平均建築費用
リクルートの全国調査(275世帯)によると、二世帯住宅の平均延床面積は57坪(188㎡)で、土地代を除く建物の平均建築費用は3566万円でした。また、総務省統計局の平成25年の住宅・土地統計調査によれば、熊本県内の戸建ての住宅あたりの平均延床面積は40坪(133.2㎡)と出ています。
平均延床面積で考えると、全体の戸建てに対して二世帯住宅は大きいことがわかります。そのため、土地からお探しの方はその点も踏まえて検討すると良いでしょう。
二世帯住宅の種類別の平均建築費用
二世帯住宅の種類別の平均建築費用(土地代除く)は以下の通りです。
●完全同居型は3200万円
●部分共有型は3695万円
●完全分離型は4009万円
また、住宅金融支援機構によるフラット35利用者調査によると、熊本県内の平均建築費用(土地代除く)は2690万円でした。水回りや設備などが単世帯住宅と変わらない完全同居型でも、住宅価格は県内平均より500万円以上も高くなっていることがわかります。
二世帯住宅の建て替え時の別途費用
二世帯住宅は、親世帯の家を建て替えるケースも多いです。建て替え時に必要になる代表的な別途費用は以下の通りです。
別途費用
●解体工事費用
●外構工事費用
●登記費用
●契約書印紙代
●火災保険
●住宅ローン手数料
●引越し費用
●仮住まい家賃
●不動産取得税
場合によって必要になる別途費用
●宅地造成工事
●地盤改良工事
●水道加入金
二世帯住宅のメリットとデメリット
二世帯住宅の種類別のメリットとデメリットをご紹介します。ご検討中の二世帯住宅を踏まえてご参考にされてください。
完全同居型
完全同居型のメリットとデメリットは、それぞれ以下の通りです。
完全同居型のメリット
●建築のコストが安い
●光熱費を抑えられる
●にぎやかに過ごせる
●介護の際に動線が便利
●単世帯後も無駄が少ない
完全同居型のデメリット
●プライバシーの確保が難しい
●世帯間の配慮がかなり必要になる
●世帯それぞれの深刻な話がしにくい
●世帯ごとの時間を楽しむのが難しくなる
部分共有型
部分共有型のメリットとデメリットは、それぞれ以下の通りです。
部分共有型のメリット
●プライバシーを確保しやすい
●完全分離型よりコストが安い
●完全分離型より光熱費を抑えられる
●完全分離型より助け合いをしやすい
部分共有型のデメリット
●世帯間の配慮が必要
●光熱費などの負担の分担が不明確
完全分離型
完全分離型のメリットとデメリットは、それぞれ以下の通りです。
完全分離型のメリット
●プライバシーを確保しやすい
●生活リズムの違いも対応できる
●生活費の支出が分かりやすい
完全分離型のデメリット
●建築コストが高い
●コミュ二ケーションが取りづらい
二世帯住宅の共有部の間取りの注意点
リクルートにより間取りの中で同居世帯と共用している部分が調査されています。
●玄関(78.4%)
●バス(75.0%)
●キッチン(38.8%)
●リビング(37.1%)
●ダイニング(34.5%)
世帯の関係性によって変わる部分はありますが、いずれも生活のイメージを膨らませて選択する必要があるため、それぞれの共有部の注意点について解説します。
玄関
完全に生活をわける考え方をしない限り玄関をふたつ作る必要はありません。しかし、玄関先での来客対応が多い場合や、仕事などによる生活リズムの関係で出入りを気にしたくない場合は、玄関をわけることも検討したほうが良いでしょう。玄関は靴を含めて物が多くなりがちですので、ストレスがないように配慮することが大切です。
浴室
浴室をふたつ設置する場合、イニシャルコストはもちろん水道代や電気代などのランニングコストにも大きく影響します。そのため、共有する場合が多いと言えます。
1階と2階で生活をわけている場合、お風呂をふたつ設置しないまでも2階にシャワールームを設置するのも便利です。一方、脱衣所は衣服を脱ぐプライベートなスペースなので、配慮された動線にすることを心掛けると良いでしょう。また、家族の生活だけではなく、来客時のことも想定して水回りを設計することも、ストレスなく暮らすために大切です。
キッチン
調査によれば、玄関や浴室と比較してキッチンはわけるという住まいが多いようです。判断のポイントは、やはり食事の時間帯です。
子世帯は家族の成長や仕事の状況などにより、食事の時間帯やあり方も変化していきます。そのような生活の変化を考慮し、フルサイズのキッチンまではいかずとも、ミニキッチンをいずれかの世帯がマイペースに利用できるように設置する場合が多いようです。ちなみに、キッチンをはじめとした水回りを2階に設置する場合は、1階に取り付けるよりも数万円ほど工事費用が高くなります。
リビング
リビングを共有する場合も注意が必要です。リビングは家の中でもインテリアにもっともこだわりたい空間です。二世帯間で好みに差が出ると、どちらかが我慢するこということになります。来客を通す場所にもなるリビングが、自分の好みに満足できないインテリアになってしまっていては、少しずつ不満が溜まってしまうことになりかねません。
また、テレビや趣味、来客などから一方の世帯が気を遣って、リビングにはいられず部屋にこもってしまう状況も考えられます。設計時には気がつかなかったストレスや、暮らしの中でもなかなか口には出しにくいストレスが発生する可能性もありますので、設計時にしっかりと生活をイメージすることが大切です。
その他
テレビや音楽を聴く際の音量、室内の快適な温度なども二世帯間で異なる場合があります。細かく言えば照明の色や明るさ、匂いなども配慮が必要かもしれません。現状別々に生活しているのであれば、それぞれの生活環境がどのようなものかしっかり観察して、できるだけ無意識のストレスが発生しないようにしましょう。
現代は個人の趣向が異なり、はっきりしている傾向があります。また、大家族で暮らすという経験はなかなかないため、思わぬ点が世帯間の不和を生む原因になりますので、しっかり話し合うことが大切でしょう。
まとめ
本記事では、注文住宅で二世帯住宅を建てる場合の建築費用の相場や、お住まいになる上で重要になる共有部などの間取りの考え方やポイントを解説しました。
二世帯住宅は単世帯住宅以上に、未来の家族の変化や日常の小さな行動パターンまで考慮して設計する必要があります。また、同居するのが夫の親なのか妻の親なのかでも間取りの考え方は変わってきます。育児や家事を協力し合うための重要なポイントは、お互いが適度な距離を保って干渉できる間取りにすることです。
熊本工務店では、多くの経験と実績がある設計士が直接ヒアリングしながらプランを描いていきますので、お住まいになるご家族の状況に合わせたご提案をおこなうことができます。二世帯住宅の建築をご検討中の方は、施工実績が豊富な熊本工務店にぜひ一度お気軽にご相談ください。